母の贈り物

母は、生前今から36年前へそくりで貯めたお金でオーブンを買った。
当時は、「てんぴ」と呼んでいた。
それで、クッキーやシュークリーム、ローストチキンを焼いてくれた。
その思い出は、薫子鮮明だ。
その薫子が子供を産み、子供達に同じようにお菓子を焼いてやっている。
まるこをおんぶして、お菓子を作った事もある。
まるこが低学年の頃は、よく二人でケーキを焼いたものである。
そんな今、前にも書いた通りまるこは1人でオーブンに向かいお菓子を焼く。
薫子は、殆ど口出ししたのは最初だけで今はオーブンも上手に使える。
そして、友達を沢山連れて来てお菓子作りに余念がない。
今日は、昨日まるこが作った苺のムースを友達に食べて貰い大好評で、
それから賑やかにクッキー作りである。
母の買ったオーブンが、母から薫子へ、そしてまるこへと使われていく。
きっと、天国の母もどんなにか喜んでいることであろう。
これからも、薫子もまるこも母のオーブンを使い続けていきたいと思う。