まるこは,千代子おばあちゃんが大好き

この桐の箪笥は,薫子が10歳で亡くなった母の形見である。
多分,お嫁入り道具の1つであろう。
薫子は,小さい頃のお兄ちゃんにも良く母の想い出話をしたものだが,男の子だからか,おじじが生きており良くお兄ちゃんを可愛がりすぎるくらい可愛がったからか,おばあちゃんの事はあまり口に出さず,未だにおじじ,おじじである。
おじじは,まるこが2歳の時天国へいったから,まるこにはあまりと言うより殆ど覚えてないらしい。
薫子は,まるこが物心ついたから千代子おばあちゃんの話を耳にタコが出来るくらい話して聞かせている。
お菓子作りや料理が上手だった話,洋裁の仕事をしていて薫子の洋服は殆ど母が作ってくれた話はまるこには耳にタコであろう。
他にも,沢山沢山千代子おばあちゃんの話をしたし,未だにしているが,まるこにはそれらの話がまるこには心地良いようで,飽きずに聞いてくれて嬉しそうである。
実際,母を知る人から『まるこちゃんは,おばあちゃんに良く似てるね。』と言われると凄く嬉しそうな顔をする。
が,『ママにそっくりね。』と言われると凄く不満気である。
1度,まるこに聞いてみたら『おばあちゃんに,良く似てる。』と言われると,と言うより言われた方が嬉しいそうな。
お母さん,天国から聞いていますか?
こんなに貴方を想ってくれてる孫が居るんですよ。
お母さん,天国からお父さんと2人で可愛い孫達を見てて下さいね。